第22回劇作家協会新人戯曲賞受賞作家、南出謙吾の処女作にして所属劇団「らまのだ」のキラーチューン!再演を重ねること記念すべき10回目になる今作を、2016年上演時のキャスト&演出家そのままに、今、この瞬間、この企画でしか生み出せない演劇へとアップデート!
2016年のこと。一人の女性から、舞台出演のオファーを頂いた。彼女が旗揚げした劇団が第2回の本公演を行うという。声をかけられてから、かなり早い段階で僕は出演を決めた気がする。
理由は色々あったけど、大きく分けると三つほど。
一つは、客演先でのオファーであったこと。アガリスクの作品を観て声をかけて頂くことは多かったけれど、客演先のfeblabo「ホテル・ミラクル3」を観てのオファーということで、演技の幅という意味でも、彼女が何か新しい部分を引き出してくれそうだと感じたから。
そして二つ目は、旗揚げ間もない劇団だったこと。演劇を始めた時=劇団員になった時であった僕にとって、劇団を前進させていくということがどんなに大変かは身をもって知っていた。自分が少しでもその力添えが出来るのなら、それはそんなに悪いことじゃないよねと思ったのもあった。そしてこの聞いたこともないヘンテコな名前の劇団「らまのだ」に、何か感じるところがあった。とは言え、まさか旗揚げから3年以内にシアタートラムに進出する、という目標を本当に実現させてしまうとはその時はまだ思ってもいなかったが。予想屋だったら失業もんだ。
そして三つ目は、頂いた脚本に無限の可能性を感じたから。『天気予報を見ない派』という脚本。テキストを読んだ時点では、書かれているセリフ自体は一見何の変哲もないやり取りが続くように見えたが、行間やその裏側に膨大な量の情報の大波が見えた気がした。し、彼女ならそれを存分に引き出してくれるんじゃないか、そんな気がした。そしてこっちの予想は見事的中したわけだった。
それがらまのだ演出家、森田あやちゃんとの出会いだった。同い年というのも効いていたのかもしれない。
その後、こちらも初めましての松本みゆきちゃんという強力なパートナーを得て、この作品が只者じゃないものになったことは、初演を観て頂いた方には説明不要だと思う。
なんせ10回も再演を繰り返してる名作である、再演にあたってもちろん色々なことを考えながら作っているけど、やはりこの戯曲のもつ、先述の無限の可能性というやつに今回も不屈の魂で挑戦するのが一番の正攻法だと思っている。簡単なことじゃないけど、だからこそ燃えるものづくり。上演時の5W1Hに多大な影響を受ける作品ならではの、旨味、を見せられたらいいなと思うし、それはこの公演のコンセプトにガッチリとマッチしてるとも思う。
作劇上の、テクニカル的なことを書こうとすると、かなり膨大になってしまうので、今作に関してはひとまずイントロダクション的な記事にとどめておきます。この続きはまたどこかで。
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